日本一のかき氷が埼玉県秩父にある。
阿佐美冷蔵。
ここへは、都内からであれば、高速道路を使っても、片道2時間。電車で行くとしても、秩父鉄道上長瀞駅までは、同じくらいの時間がかかるだろう。
山に囲まれ、店の裏には、荒川が流れる。荒川と聞いて驚く人も少なくないと思うが、荒川は、埼玉、山梨、長野の三県が境を接する甲武信ヶ岳に源を発している。甲武信ヶ岳を起点として、荒川が東京湾へ注がれるまで、200km弱あるのだが、都内から阿佐美冷蔵まで向かうことは、荒川を上流まで遡る行程とも言えるかもしれない。
筆者が阿佐美冷蔵を訪れたのは、夏の暑さが消え失せ、涼しさが訪れる10月初旬だった。
山に囲まれているだけあって、夏は非常に涼しいようだが、10月初旬にもなれば、寒いと感じる人の方が多いだろう。
これだけ寒い中、かき氷を食べにきている人たちは、どれだけいるのだろうか?
阿佐美冷蔵へ着いて、まず驚くのは、季節に関係なく、長蛇の列があることだ。かき氷を拝むまで、1時間は待つことになる。
また、駐車場に泊まっている車から察するに、非常に広い地域からお客さんが来ていることがわかる。品川ナンバー、横浜ナンバー、湘南ナンバー、大宮ナンバー、長岡ナンバー、山梨ナンバー、などなど。
かき氷のための200km程度ならば、文句はない、ということなのだろう。
期待感は増す。
並びはじめてしばらく経つと、お店の方が、メニューを持ってきてくれる。
・きなこ
・フルーツ系
・せん茶あずき
・黒みつ白あん
…などなど。
非常に多くの種類があるのだが、筆者はかねてから、「蔵元秘伝みつのかき氷」を食すことに決めていた。
テレビや雑誌など、各種メディアでも取り上げられることの多い阿佐美冷蔵だが、以前、取材を拝見した際、その特徴でもある天然氷が近い将来とれなくなるのではないかという懸念を持っておられる、というお話があった。しかし、その際、阿佐美さんは、「天然氷がとれなくなっても、シロップで勝負できるように、シロップにも非常にこだわっている」というようなことをおっしゃっていた。
(※ 実際、シロップは、店内でも、このようにして販売されていた)
迷わず、筆者が、「蔵元秘伝みつのかき氷」を選んだのはこういうわけだ。
メニューから選び、店員さんに伝えて、しばらくして、店内に通された。
和風の店内に心落ち着く。
のれんをくぐり中へ進むと、奥に通された。
筆者の座ったテーブルの横には、「食べログ Best Sweets 2009」のシールが。
多くの人々に愛されてきたお店なのだろう。
日本一のかき氷に胸が膨らんだ。
…つづく
【阿左美冷蔵金崎本店】
・住所: 埼玉県秩父郡皆野町金崎27-1
・電話: 0494-62-1119
・ウェブサイト:http://rose.zero.ad.jp/vodka/